前書き  本作をご覧になる前に

 本作はタイトルにもございますように、戦闘機による空中戦と、かつての大戦をモチーフとした描写・表現がございます。
 もしも、拙作をご覧いただける方で、戦争、戦闘、又は所謂「右、左思想」の描写、表現に嫌悪感、不快感を持たれる方は、誠に申し訳ございませんが、閲覧をご遠慮ください。
 なお、本作に関する苦情、叩き、又は類する非難・中傷につきまして、作者は一切関知いたしません。本作はあくまで創作であり、(GS美神のタイトルを冠する以上、二次創作ではありますが)史実、実際の組織、人名、科学的理論、航空力学に基づかない表現のなされている場面も多々存在します。ご了承ください。

 以上の注意点に同意された方で、本作をご覧いただける方は、「ようこそ深井ワールドへ!」ごゆっくりと作者の妄想の限りを盛り込んだ拙作をお楽しみください。






















美神エアフォース 
チャプタ−1 「赤紙」
著・深井零


「後ろにいるぞ!ブレイクしろ!!」
「ダメだ!被弾した!脱出する!!」
「くそっ!なんでこんな旧式を振り切れない!?」
「ダメだっ!脱出できない!墜ちるっ!」
「そこの日本機!火が出てる!消火しろ!!聞こえないのか!?」
「消えたッ!目標消失ッ!!クソッドコだ!?」
「当たらないッ!弾が素通りするぞッ!?」
「くッ来るなぁぁぁぁッ!!!」


 2003年8月15日、横須賀沖。
 平和な筈のその海域は、怒号と悲鳴のるつぼ、戦場と化した。
 どこまでも蒼く澄み切ったその空に、炎の華が咲く。
 米海軍、航空自衛隊の誇る新鋭戦闘機たちが次々とその華になる。
 
 参加機の4/5を撃墜され、日米混成部隊は壊滅した。


 第二次大戦末期、追いつめられた大日本帝国軍は、あろう事か自国の兵士を、人ではなく、兵器と定義した。
 兵士としての戦力ではなく、爆弾として具体的な破壊力として戦線に赴く事を
 ”自由意志”
 と称して強制された、若者たち。
 その見込みさえも見失った”勝利”の大義名分の名の下に、戦場へ送られ、生還する事を許されず、死のみを約束された、彼らの最期の出撃。

『神国・大日本帝国』を守らんと飛び立った者はいない。もはや『神国・大日本帝国』が崩壊への道を歩んでいることは誰の目にも明らかだった。
 彼らの守るべきものは『己の愛する者』。
 それは彼らの銃後にある者。
 例えば、家族。
 例えば、恋人。
 敵に侵略されてはならないと、自らの命を投げ出し、強制的”自由意志”に志願した。
 そして、死の間際に気づいてしまう。『死する事でなぜ、愛するものを守れようか』
 その無念はやがて怨念となり、彼らは死すら許されなくなってしまった。
 彼らは、いつしか集まり始め、”幽霊飛行隊”とも言える部隊を編成していた。
 そしてついに、1999年8月15日、終戦記念日に日本近海に出没しては現在では同盟国である米軍を攻撃し始めた。

 ”英霊”とされる彼らの行動は、その初期には当然、生前の任務に忠実なだけだと楽観視する声が多く上がり、所謂『右』の思想に偏った者などは彼らを賛美したものだった。
 加えて、主な被害者たる米軍の対応も、8月15日に限って日本近海から「外洋演習」と称して退避するのみと、比較的のんびりしたものだった。
 しかし、年を追うにつれ彼らの攻撃は激化し、米軍、自衛隊、果ては民間船舶、航空機さえも無差別に攻撃し始めた。

 さすがに自分の身に降り掛かる災厄になる恐れが出てくると、『右』思想の者もうかうか彼らを応援することが出来ず、対策を政府に要求し始めた。
 もちろん、民間に被害が出るのを指をくわえて見ているほど政府も愚かではなく、明らかに遅すぎる具体的対策をとるようになった。
 2003年、ようやく”対策委員会”として招集された閣僚たちの出した結論は

『殲滅』


かつて、御国を守らんがためと死地に赴かせた”英霊”をこの瞬間皮肉にも、『国家に仇成す敵』として定義した。

 誰もが、現代の戦闘機をもってすれば、旧型甚だしい零戦の殲滅など容易い事だと思っていた。
 しかし、現実は違った。

 幽霊飛行隊の殲滅を受命し、米軍、航空自衛隊のパイロットがこれに挑んだが、相手は物質としての戦闘機ではなく、実体をもたない怨霊である。
 戦闘報告は、自軍の壊滅のみを知らせるものだった。
 戦闘中、撃墜を喫したものは殆どがその命を落とすか、運良く脱出できたとしても、精神を破壊され廃人化した。
『通常の軍人では通用しない』
 そう考えた軍の首脳陣は、この幽霊飛行隊殲滅作戦にGSを投入する事を決定した。
 早速対策委員会はオカルトGメンとコンタクトを取り、作戦に投入可能なGSの選定を依頼した。
 航空自衛隊のトップの一人が、その際、こうもらしたと言う。
「戦争はもう終わったんだ・・・。だが、何故今更『赤紙』を民間人に突き付けなければいかんのだ・・・。」
 赤紙。
 それは、民間人を、兵として徴用する旨を伝え、それを拒否するを許されなかった赤い紙切れ。
 今回の場合、厳密には「徴用」ではなく、「除霊作業者」を「雇用」する訳なので、赤紙という言葉は誤用と言えば誤用である。

 2004年、8月8日。美神除霊事務所の電話が鳴る。
「はい、美神除霊事務所です」
『ああ、おキヌちゃんか、西条だけど、令子ちゃんはいるかい?』
「あ、はい、少々お待ちくださいね。美神さーん!西条さんからお電話でーす!」
 受話器のマイクを塞ぎ、デスクで事務仕事をしている令子に取り次ぐ。
 おキヌにかわって、令子が電話に出る。
「どうしたの?西条さん。」
 令子は、霊感にぴりぴりと引っかかる何かを感じた。
『令子ちゃん、今年の幽霊戦闘機狩りの件で、米軍と航空自衛隊から連絡があったんだが、正式に君のところに依頼したいそうだ』
 ここまでくれば、霊感が正しい事を証明するに足る。
 そして国家からの依頼。
 巨額の利益の予感がした。

『報酬は日本円にして4億だそうだが、どうだい?武器は、必要なだけ、対策委員会が用意する』
 4億。しかも、必要経費は全て国家予算。報酬は全て純利益となる。
 一般人からすれば一生遊んで暮らせる額であるが、令子は即答しない。
 まだ値を吊り上げられる。そう思った令子。
「なかなか面白そうだけど、戦時中の気合いの入った霊を相手に戦闘機で空中戦をやらかすにしては4億は少ないわね」
『そう来ると思ったよ。なら、僕が自腹を切ろう。委員会からの報酬とあわせて5億でどうだい?』
 西条はあっさりと値上げに応じる。

 さすがは道楽公務員と言いたいところだが、実は、違う。
 はじめから米軍の提示してきた報酬は5億だったのだが、令子が必ず値上げを要求してくるだろうと読んだ西条は、1億少なく打診した。
 したがって、1億の値上げには、西条はいっさい自腹など切ってはいない。
 自腹を切ったように見せかければ、令子は値上げに成功したと思い込み、予定通りの報酬で仕事をしてくれる。

 ただし、もしバレてしまえばあとの事が少々怖くはあるが、いくら令子といえども、日米両国相手に巨額の値上げをして欲しくなかった。
 悪くすれば、外交摩擦を生みかねない。
 たとえ自腹を切ったとしても、今回のケースではそれはそれで問題になる。
 公務員として、それだけは避けたかった。所謂、「政治判断」というやつだ。

「オーケー、商談成立ね、で、いつ、どこに行けばいいの?」
 いとも簡単に西条の仕組んだトリックにはまった令子。その声色には、全く疑念を感じない。
(ごめん、令子ちゃん、今回ばかりは、こうせざるを得なかったんだ)
 西条は、心の中で令子に謝りながらも、あくまで冷静を保って話を続ける。
『今すぐ横須賀に向かってくれ。空母キティホークが、君たちの機体を用意して待機している』
「分かったわ。それじゃ、今すぐに出発するわ」
 そういうと令子は電話を切る。

 こんな急な仕事に応じているのも、報酬の額が大きいからだけではない。
 本物の戦闘機を自分の手で操縦する機会など、そうそうあるものではない。
 平たく言ってしまえば、「一度やってみたかった」である。

 それに、ここしばらく億単位の報酬から遠ざかっていた令子にとって・・・
 5億の報酬は、ほかの予約を全てキャンセルするに十分だった。
 もっとも、横島たちにやらせる予定の仕事については、予定を延期するという形で対応する事にして、その分の利益もきちんと確保する。
 しかし、出発前に、一仕事しなければならない事があった。

「い、イヤですよ!!なんで俺が戦闘機に乗ってドンパチやんなきゃなんないんスか!?」
 予想通りの横島からの抗議。それに、おキヌさえも今回の仕事には難色を示した。
「戦闘機に乗るのって、免許がいるんでしょ?無免許運転はさすがにどうかと・・・」
 主張が少しずれてはいる。

 なんとかこの二人を空母キティホークまで強制連行するテは無いものかと、令子は頭をしぼる。
 自慢の頭脳をフル回転させ、あらゆる策をシミュレートする。
 横島だけなら殴って気絶させ、有無を言わせず連行する事は可能である。
 しかし、おキヌを殴る訳にはさすがにいかない。
 あくまで平和的に、この平和主義の二人を戦場に連れ出す必要があった。
 そこで、令子は一計を案じる。
 二人の乗ってきそうな話題で釣ってしまおうというものだ。
 さらに、言霊まで乗せると言う周到さ。
 早速、実行に移す。
 横島に見せるエサは・・・

「横島クン、太平洋の幽霊戦闘機を始末して、帰ってこられたら・・・」
 つと、横島の側に近寄り、耳にあらんばかりの色気を込めてささやく。
「あんた・・・ヒーローよ」
「お、俺が・・・俺が・・・ヒーロー!?そうなれば、世界の女の子は俺にぞっこん!

 単純な横島は、あっさりと令子の仕掛けたブービートラップに食いついた。
 その反応だけで洗脳の完了を確信した令子は、今度はおキヌに向かい直す。
「おキヌちゃんも、考えなしの軍隊のエラいさんに騙されて特攻なんてバカな作戦で無駄死にした霊を成仏させてやるのがネクロマンサーの仕事でしょ?」
 しかし、おキヌはさすがにそう簡単には言霊に乗せられない。まだ迷っている。
「でも・・・」
「救われない霊を救ってあげられるのはおキヌちゃんしかいないのよ?」

 令子は、言霊の出力をさらに上げる。ここまでくれば、詐欺か脅迫である。
 令子の目の輝きはもはや尋常ではなかった。
 おキヌや横島が正気であれば、すぐに気づいた筈だが令子の強力な言霊に精神を汚染されている二人はそれに気づかない。

「世界のヒーロー!!世界中の女という女を集めてハーレムじゃあっ!」
 いとも簡単に令子の言霊で正気を失い、思考が飛躍する横島。
 普段ならこのような科白はおキヌが黙っていないのだが、言霊によって正気を失ったおキヌに、もはや横島の声は聞こえない。
「・・・分かりました、私、やります」
「O.K.それじゃ、早速行きましょうか。人工幽霊壱号、留守番よろしくね」
『お気をつけて。オーナー』
 言霊の精神汚染が抜けないうちにと、そそくさと二人をポルシェに詰め込み、令子は事務所を出発した。
 目的地は横須賀港。米軍の空母キティホーク。そこには、令子たち3人を待つ鋼鉄の鳥たちがその翼を休めている筈だ。

 戦う為に生み出され、戦う事無くその生涯を終える筈だった3羽のスペシャル機が・・・。


チャプタ−2「シングルトムキャット」へ続く。


 

後書きっす
 

 前作を読んでいただいた方には、お久しぶりです。
 前作が未読な方には、初めまして。前作もよろしくです。

 深井零です。

 今作において、所謂『右』とか『左』とかの思想にまつわる表現がありますが、作者本人は特に『右』でも『左』でもない(と思っている)つもりですので、この部分につきましては、物語の展開上、やむを得ず付加しているにすぎませんので、特に深井の人格、思想を反映しているものではありません。

 では、今作で深井はなにを書きたかったのか?
 ズバリ、ナ●コの名作シューティングゲーム、エースコ●バットを、美神さん達の世界に持ち込んでみたい!
 に尽きます。

  ことの発端は「おしゃべり煩悩」の某氏からのレスからでした。
 以下、引用
HNから察するに航空モノでしょうか? いえ、雪風も読んでますので。
Re:美神の航空ものもいいかもしれませんね。ちょっと雪風ののりで。構想を考えてみましょう。

 以上、引用でした。
 上記にありますように、大元の発想は私のHNの元となりましたSF小説「戦闘妖精・雪風(神林長平・著)」と、美神のオマージュでした。
 因に、わたしのHN、深井零とは、この小説作品に登場する主人公の名前です。

 しかしながら、同小説は非常に内容が高度で、低能な深井は作品の行間を読み取ることが出来ず、元ネタとすることが出来なかった為、(一応、この「戦闘妖精・雪風」が元ネタになっているシーンがちらほらと出てきます。ご存知の方は、後の当該シーンにてご確認ください。)お気に入りの3Dシューティングゲーム「エースコ●バット」シリーズの、爽快な空中戦を元ネタとして持ってきた訳です。

 なお、作中におきまして、物語の都合によりやむを得ず、軍事的専門用語や太平洋戦争を取り上げるシーンがありますが、これにつきまして嫌悪感、不快感を感じられた方、または表現において異議を持たれた方々には申し訳ございませんが、「前書き」の通り、苦情、叩き、その他作者に対する非難・中傷はその一切におきまして作者は受け付けいたしません。 悪しからずご了承ください。

 最後となってしまいましたが、前作に続き再び寄稿の機会を与えてくださった林原様に心よりの感謝を申し上げます。
 それでは、チャプタ−2でお会いしましょう。
 

 See you next time!




























「オカルトGメンの西条です。・・・はい、彼らは『赤紙』を受け取りました。・・・はい、報酬も、当初の予定通りで・・・。ええ、お願い致します。・・・それでは失礼いたしま・・・あ、はい・・・ありがとうございます、閣下」

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